北森鴻「メイン・ディッシュ」文庫版
五年前に図書館で借りたことがあり、そのときの感想が下段。
北森鴻は「冬狐堂シリーズ」とか「凶笑面」とか固そうな本しか書かないのかと思っていたので、それを愉快に裏切るこの演劇料理推理本はいつ読んでも、味わい深く楽しい。
この五年の間に自室に今までなかった池波正太郎の「食卓の情景」があるのは、この本のせいだったかとふと気付いたり、やっぱりこのフリッター食べたいよなとか、どれかひとつ飲食させてくれるならば梅酒だなとか、果てしなく食欲中枢を刺激されて、且つほんわかしたテンポにそぐわない謎解きがアンバランスで、あれよあれよと再読も面白かった。
文庫版は最後に加筆した特別短編が付いていて、オトク。それが読みたいが為に、古本屋で思わず買っちゃんたんだけどね・・・
- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/03/20
- メディア: 文庫
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<2000/8月ハードカバー版読了時の感想>
美味しそうな小説というのは、池波正太郎先生を例に挙げるまでもなく、読み手には目に毒であり、私には以ってのほか気の毒だ。 なにせそれを食べようと思ったら、自分で作るしかないのだから。悲しい。
いや、それにしても、『メイン・ディッシュ』は良かった。『狐罠』を借りたついでに図書館から一緒に拝借してきたのだけれど、私の性としてはこっちのノリもとても好きだ。
ひどくノリがいいのに、とても謎があって不思議なままどんどん進んでゆく。こういうのを、実に言葉巧みというのかな。
劇団かドラマでやったら、面白いだろうなと、読後にシアワセな気分。ミケさんのフリッターと伊府麺と梅酒が、いま食卓にあればもっとシアワセなのになぁ。
- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/03/26
- メディア: 単行本
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