PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

鉄コン筋クリート

傑作っす。
これこそ噂に違わず面白いと評して正しい。
ほぼ全国上映は先週金曜日で終わったんだけど、どうしても観たいと渋谷まで足を運んで良かった。


ラクタのようなオモチャ箱のような独特の色彩溢れる宝町の風景。
クロとシロ、相反してるけど、足りない心のネジを双方で補う親のないノラネコの子供たち。
昔気質のギャングマン(シロの言い方)が幅を利かせた町に、再開発として外から人がやってきて、町を人を壊す。(実際は、新しく作り直すんだけど、地元目線からみると、それは破壊というもの)
受け入れられない自分、止まらずに進んでいく足もと。
想像の世界、現実の世界、空想の世界、自分の世界。
架空の町であるのにそこは懐かしく、そんなノラネコのような生活もしたことないのに共感深く、「ぐっ」とくる。


松本大洋原作、監督はマイケル・アリアス
声優はクロが二宮和也、シロが蒼井優、その他宮藤官九郎やら、本木雅弘らが脇を固める。
役者がやる声優は、ともすればその声の主の顔ばかりを連想しがちだけど、これほどこのアニメにあった声優陣は考えられないと思ったほど、しっくりくる。特に主役の2人ははまっていた。


クロの世界の闇は深い。
ひとりはやだなと確かに思うし、その思いは映像を見ていて自らも取り込まれそうになったほど。
そして、シロの無邪気さに救われる。
かなりアジアンな宝町の描写は、映画という広いスクリーンで観ると圧巻。
どこまでも続くようで広く、高く、ごちゃごちゃとしたすべてが、昔通った駄菓子屋を思い出すように、なんか懐かしいんだよなぁと感傷を呼び覚ます。