PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

「蟲師」

蟲師」の漫画も読んでないくせに、大友克洋監督だし、オダギリジョー主役だし、蒼井優ちゃんも出てくるし、誘われたのでいっかと観に行った。

あー、この手の設定はっきり言って大好きっすね。
日本には憎めない妖怪譚(蟲も妖怪のたぐいとして含めたとして)が多いのは、そういう怪異がこの風土に合っていたんだろうなとこの映画を観ても思った。山野が舞台になるような話だと、ハワイとかニュージーランドで海外ロケをして日本に見せようとする映画もあるけど、大友監督があくまで日本という場所にこだわって国内ですべてのロケ地を探してこれを撮ったのは、さすがと思う。

 私自身「ゲゲゲの鬼太郎」と「日本昔話」で育った世代である。小さい頃、逸話の中で特に河童話がものすごく怖くて、和式トイレで後ろを向いている間にしりこだまを抜かれるのではないかと*1危惧するあまり、一人ではトイレに行けない子だったし、夜の闇が沈んでいるような場所はやはりなにかいるのではとその先へ足を踏み出せなかった。
 今ではトイレは洋式になり(後ろから襲われる事がなくなったからなのか)怖さはなく、闇は電燈に領域を狭められ、闇が沈んでいるような場所は近所でもそうそうない、なによりも自分が歳を経ていて耐性ができてしまった。映画の中だけでも(漫画も買おうかな)、それを思い出すような日本の風景に、生きてもいなかったのに、なんかほっとした。

 ちょっとしたたかが百年はあんなにも時代が違うんだっけ?と。たぶん今の日本の時間の流れる早さがまず違うんだろうけど(感覚的にね)。さっき、ふと自室で積み上げている未読書タワーが斜めにずれてて、間にある本の帯が覗いて見えてそれに「これは百年ちょっとした前の話」という感じ(あいまい)の売り文句が書いてあったのよ、おぉ!これとおんなじ時代設定じゃんと思ったら、梨木香歩の「家守綺譚」だった…。どっちも類型、自分的ツボ話。見回してみれば上には買ったばかりの京極夏彦「前巷説百物語」があり、下には「豆腐小僧」もおり、水木しげる先生からこちらはあまり成長してないんだなぁと。ルーツはどこまでもツボに嵌るものらしい。

*1:ああ、かわいい子だった・・・