PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

AOI/KOMACHI@世田谷パブリックシアター

2部構成、前半が「AOI」で後半が「KOMACHI」。

シリアス構成でオドロオドロしいAOIよりも、コメディなお茶目さが伺えるKOMACHIの方が好きだな。
AOIの六条役の麻美れいはさすが。朗々としたセリフ回しに貫禄あるというか、うーんイイ女という感じ。最後に赤いスーツでさっきまでの悪女はどこへやら、颯爽とした姿にこっちがいいなとは思ったけど。
照明と舞台装置が良かった。舞台を台形に区切るように後方2面にスクリーンのように白い幕が下がっていて、役者が後ろに入り込むと裏から光をあてて、影絵が出来るの。回想シーンで人物を浮かび上がらせたり、そこで演技したり。遠近によって輪郭がはっきりしたりぼやけたり、照明も同様、セリフと連動してそのあたりの使い分けが巧妙だった。

ただし劇中、いちばん気になるのは隣の人のお腹がグーグー鳴るのと、斜め後ろの方にいた客が風邪ひいてて咳止めにというのはわかるけど、カサカサと飴の袋を開け出したり(なんども)、かなり時間が経って後方席に案内された人のビニール袋がセリフが聞こえないほどガサガサガサガサ・・・。


KOMACHIはいいです。
8年間映画を撮ってないけど映画監督役の手塚とおる、役柄からして笑ってしまうんだけど、飄々としてとんだ悲劇(茶番?)に巻き込まれていく過程が、ヒドいのにさらりと観客を笑わせるのがうまい。そんな映画監督を老人なのに拉致する役の福士惠二さん、セリフは老人なのに身のこなしが老人じゃありません、すごい。(更にこの人も笑える)そして、老女役の笠井叡さん。40年前の銀幕女優が今は・・・という設定だから女にしたらがっくりくる容貌なんだけど、踊りが魅せる。そのギャップが〜。


一部で影絵として使ったスクリーンは、まさしくスクリーンに。舞台設定が寂れた映画館に移り変わるので、そこに座席を映し出したり、映画の様子だったり、男が町を歩くのと一緒に切り替わったり。使い方を全く切り分けているのが、目にも新しく以上、全体的に充分によい演劇で楽しめた。