PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

春をまえに

道端に落ちているティシュがこよなく好きで、拾う度に叱られたことを覚えてる?

お菓子の袋のガサガサに敏感で聞きつけては、よく駆け付けて中味をねだったやんか。

家の鍵を忘れた夜、一緒に外で待ちぼうけたときに見上げた星空はきれいだったな。

近所のおばさんにうちらが似てると言われたの知ってた?


とにかく君とは少なくとも最初の6年はべったりだったよ。毎日夜連れ出して、町中をぐるぐるしたことは懐かしいな。
あとの6年はごめんよ。
大好きだったけど、仕事が忙しくてあんまり遊べなくなったんだ。


君はうちの癒しで、家族で子供の一員だった。


先月2月にボケてフラフラと脱走を計った君を家族がどんなに心配したか。
人間のエゴなんだろうけど、人が自室の畳の上で死にたいと思うのと同様、どんなにヨボヨボで今にも死にそうであっても、行方不明のまま野たれ死ぬのは堪え切れなく、君にはうちで息を引き取ってもらいとあんとき痛切に思った。


現にいくばくもなく君は昨日、うちの芝生の上で春めいてきた春を実感することなく、最期を迎えたけどね。
喜ばないだろうけど、今年の桜ぐらいは見せたかったのにな。


悲しいけど、ホント今までありがとう。君がいて癒されたことは数知れず。
いまの私はあるのかと。


ジロに捧ぐ。
享年12歳(推定)
合掌