恩田陸「麦の海に沈む果実」
前後関係から言うと、都心は3年振りの大雪でウィークエンドで、しかも図書館の貸し出し期限を3週間は越えた恩田陸の本が3冊もあった、未読のまま。これほど読書日和な日が年に何回あるだろうか(おそらくほとんどない)。
時折恐る恐る走っていく車のチェーンのガリガリいう音、裏の林で積もった雪が支えきれずにザーっと落ちていく音、どの音も消えていき静かだった。
不穏な書き出しから始まる序章に、主人公の独白で続いていく学園の生活。一章づつ読んでいくごとに、謎が一つ消えても二つ増えていく。個人的にはこういう学園は面白いだろうし、生活していたらズルズルとオカシイままに順応してしまう派だろう私は。この主人公の理瀬や黎二や憂理たちと違って。なにしろ、6年もこんな図書館に入り浸れるのは幸せだろうなと物語は別にして、ずっと考えてしまった。
なくしたトランクを取り戻すまでの、理瀬がとても好きだったなぁ。