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-オシツオサレツ日々は過ぎる

ジェイン・オースティン「自負と偏見」

久しぶりに読書したなと感じる本だね。版が古いこともあるし、頁の行間や文字の詰まり具合にしめしめしつつ、いつになく暇を惜しんで、あるときは風呂場に半身浴しつつ、あるときは通勤バスに揺られ、あるときは頁につっぷしたまま寝つつ、積極的に読みきった。


出版から凡そ190年。
時代における恋愛は舞台がイギリスということを差し引いても、かなり変容しているのを惜しむべきか喜ぶべきか。馬車・手紙・舞踏会、今なら飛行機や車で、Eメールやケータイで、もしよければ合コンで、あんな不安や思い違いやすれ違いは、直ぐにも解決できてしまうかもしれない。ただし、そんなお手軽さが恋愛に必要かというと、あまりにもあっさり簡単すぎて味気ないだけかもしれない。ただ、この本のじれったいまどろっこしさは、先の頁を捲りたくなる要因になっていて、飽きない。


それにしても、英国の女たちは娘を結婚させるために、実際こんなんだったのかな。金持ちの若い資産家が近所に引っ越してきたとなれば、目の色を変えてどうにか娘の婿にできないかお節介な画策する母親ミセス・ベネット。そんな妻を止めはしないが、面白がりつつも冷ややかに傍観する父親。そして個性の揃った5人姉妹たち。コメディのようだが、ラブストーリーとしてはとても甘い。BJの日記からこの本に辿り着いたが、ユー・ガット・メールでも多用されているらしい。(そういえば、いろいろ思い当るフシ多々有)


文庫本は、新潮社(上)(下)巻しか読んでないが、上と下の区切りが絶妙で結構気に入っている。下の出だしでダーシーの不意打ちに合い、またまたズルズルと読み込んでしまう。英国BBCが作った5時間ドラマの「自負と偏見」に、BJ日記のマーク・ダーシー役でもあった、コリン・ファースが作中いちばんのフィジッツェラルド・ダーシーを演じるのを、すごーくとても見てみたい現在。


↓筑摩の新訳もかなりよかった。(2007)
高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)