PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

デイヴィット・ベニオフ「25時」

新潮文庫の100冊で、どうしてもYonda?ストラップが欲しくて、買った一冊。毎年思うが、100冊もあるのにどうして自分に読みたい本がこの中にはないんだろうとウロウロと本屋で悩んだ末の一冊だった。

ブルックリンの同じ世界で彼を知らぬ者はいないほど、容貌が良くて頭もよく、金もありいい女もいる男。だけど、それはヤクで儲け手にしたもの。そして、男は25時間後に刑務所へ7年間の服役が決まっている。消防士になりたくてなるつもりだったのに、どこかの分岐点で道を間違った男。残りの25時間でなにができるだろうか。

答えは何もできない。彼もその友人も恋人も家族も誰もがそれに気付いているが、それの今更どうしようもないことに彼に会って痛感するだけ。なにより男がそれをよくわかりすぎていて、周りはなにも手出しができなくて、時間が過ぎていく回想録。

犬のエピソードと最後の父親の切り出しがいいなぁ。そういう人生もあるよなぁとしみじみする。

The 25th Hour 25時 (新潮文庫)