PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

コニー・ウィリス「犬は勘定に入りません」

うん、ウィリスは面白いという結論。

そして格別、この「犬は勘定に入れません」という本。

「ドゥームズディ・ブック」のように誰もが死ぬのでなく、全く奇跡的にも誰も死なないし(勿論勘定に入っていない犬も猫も)、ユーモアたっぷりで、タイムトラベルというSFという枠に留まらない歴史視野と文学と、極めつけに1930年代ミステリィ三昧。ポアロミス・マープルにホームズ,そしてピーター・ウィムジィ卿でもう参りましたって感じ。お茶目さ極まる。

これの読後は「毒を食らわば」でも「〜事件簿」でも良いから、セイヤーズが読み直したくなることしかり。大好きな本をあげなさいって言われたら(「銀英伝」の次に)、今まっさきに答えてしまおうってぐらい。 主人公のネッド・ヘンリーの心の片隅のぼやきとツッコミに間の手を入れながら頁を捲り、プリンセス・アージュマンドとシリルのナイスコンビに悶えたり,かといえば歴史は繰り返すという歴史に思いを馳せたり,そして「じゃじゃ馬ならし」ばりのロマンスにほくそ笑んで,大満足。