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-オシツオサレツ日々は過ぎる

ガース・ニクス「古王国記1 サブリエル 冥界の扉 」

シリーズものを、続きだと知っていながら途中から読むのと、全く知らなくて読んでから気付くのと二通りが私にはよくある。(待っていられないんだろうか・・・)
今回は確信犯の前者。3巻ものの続きなのに、2巻目から読み出して、戻ったそもそもの始まりがこの「サブリエル」。

なにせ「ライラエル」がまぁホントに面白かった。図書館で借りてみたが、この前後作を読むのに貸し出し中の空振りによるストレスは耐えられないとワガママな欲求が寒さに耐え忍んでいる財布の中身を顧みず、ネットの古本屋を捜索し、手近なアマゾンのマーケットプレイスでポンと購入。3日もせずに帯まで付いてやってきた「サブリエル」にニンマリするしかなかった。

既読のライラエルがみにくいあひるの子だとしたら、サブリエルは桃太郎というか、なるようにしてなる強い子供だった。

父親のアブホーセンが冥界に捕まってしまい、それを救い出そうと古王国へ足を踏み入れる娘サブリエルの話。サブリエルは5歳から古王国ではなく壁の向こうにある魔術の使えない現代世界であるアンセルスティエールの寄宿舎で育ったため、父から色々な話を聞いていたが、聞くことと実際にやってみることは大いに違う。
古王国へ行けば行くほど、知らなかった父親の本当の姿を知り、自分の敵を知り、道の途中で助ける者に会い、大死霊ケリゴールと闘いの末、自分の使命を知る。

サブリエルはあの父にして子というか、強い。どんな場面でも乗り越えてしまうんだろうなぁというのが、意外性がなくて、キャラとして惹かれにくかった。(タッチストーンとの行く末を知っているゆえなんだろうか)

とはいえ、これがまた面白くないかというと、そんなことは全然ない。2作の女性主人公のどちらが好みか聞かれたら、ライラエルというだけで、見かけは白猫であるモゲットの登場やらタッチストーンとの出会いやら、謎が謎を呼び頁に齧じりつく様は4倍速ぐらいだったと思う。
だた、2巻目から推測する限り、最終的にサブリエルとタッチストーンのその後がもっと書いてあるのかと思っていたが、物語は対決の終結と同じでアッサリで想像力で補う部分だったのかと気付き、期待していたのでちょっと残念。

そして、最終巻の「アブホーセン」へ止まらずに続く。

サブリエル―冥界の扉 (古王国記)

サブリエル―冥界の扉 (古王国記)