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-オシツオサレツ日々は過ぎる

ドロシー・L・セイヤーズ「学寮祭の夜」Dorothy L. Sayers "Gaudy Night"


正月ぐらい本を読む暇ぐらいあるだろうと、嬉々として年末休館前に図書館へ。
そこで借りたのが、セイヤーズの「学寮祭の夜」。


貴族探偵のピーター・ウィムジィ卿が活躍するこのシリーズは、10年ぐらい前、高校の時に友達が嵌って、貸してくれた覚えがある。あの時期、ウィンズロウの「ストリート・キッズ」やパーネル・ホールの「探偵になりたい」とか、探偵物が私らの中で流行りで、ニール君やスタンリー・ヘイスティングに混じってピーター卿もその一人だった。

「殺人は広告する」から始まって何冊かは、読破した気がするが、大人で洒脱なピーター卿にほどほど感心しつつ、たぶんそれほどでもなかった。


それが、久々手に取った「学寮祭の夜」はなんだなんだ?と思う程、面白い。


ミステリィの枠に絡まって、ピーター卿とハリエットの恋模様がじれったいほど人間らしくて、感情移入。
お高く飄々としてすべてのことを茶化してまわるピーター卿からは見えてこない意外性と苦悩に、ハリエットがとうとう恋に落ちたのも頷ける。


肝心のミステリも大きな箱を開けると、更に箱があって、そこを開けると更に箱があってみたいな、入れ子んだ絡まり様に唸らさせる。


学寮祭の夜
ドロシー・L・セイヤーズ「学寮祭の夜」創元推理文庫 1386円 2001/8発行