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-オシツオサレツ日々は過ぎる

筒井康隆「富豪刑事」

筒井康隆氏の本は高校生の時に読んだ「パプリカ」以来久々だ。
「パプリカ」は格好良くて、日本のSFとしたら好きな本のひとつ。

テレビでドラマになった影響もあって、古本屋で売っているのを買ってみた。(とはいえドラマも未鑑賞・・・)ドラマ版は深キョン富豪刑事で衣装とか話題になったのが記憶にあるが、小説を読んでみたら、なんとこちらの富豪刑事は男。

おいおいっ、ドラマよ。設定が全然ちがうやんけ!!と一人ツッコミ。
(ま、男の金持ちより女の金持ちの方が、絵面的にわかりやすいのは、よくわかるけど)

読んでみると、出版されてから20年以上経って、今更評するのは可笑しいが・・・、筒井氏の文章っていうのは、結構斬新。改行なく時間経過をずるずると書いていて、はっ!としたり、ミステリとして章を視点を変えて同じ時系列で繰り返したり、この本に纏められた4篇はこれでもかってほど、手法が違って読者を飽きさせる事なく、ミステリは苦手だとぼやきながら、富豪の大介刑事が提案し、皆が乗り、父親が泣いて喜び、思いを寄せられている父秘書が心配し、父と金の力で罠はうまくいき、大団円となるのはお決まりの枠組みなのに内容がまったく違う。その手腕は実に巧妙だった。

金がありながらも、嫌みどころか謙虚で、それでいて一般人民とは金の価値観がかけ離れている、こんな大富豪が近くにいたら、面白いだろうなとホントに思った。続きがあったら、更に読みたいぐらい。



富豪刑事
富豪刑事
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筒井 康隆
新潮社 (1983/01)
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おすすめ度の平均: 4
5 TVもいい、原作も笑えた
2 ドラマで 女になってて藁タ(;´Д`)ハァハァ
4 初心者向け



パプリカ
パプリカ
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筒井 康隆
新潮社 (2002/10)
売り上げランキング: 39,045
おすすめ度の平均: 4.25
5 筒井康隆の長編の中でも白眉の出来。
4 映画化してほしいけど、まあ無理よね・・・
5 途中でやめられなくなる小説