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-オシツオサレツ日々は過ぎる

エドモンド@青山円形劇場

渋谷、青山円形劇場
初めて行った。
ここで劇をやるのは、観客にとってはかなり面白い。円形で前から後ろまで10列あるかどうか。こじんまりした小劇場みたいで、私の席は前から2番目の円形に四方に通路が渡された階段の側だった。 舞台まで手が届きそうなほど近い。それだけで、ワクワクする。

真っ暗に照明を落として、道具の配置がされた後、浮き上がる役者たち。どこからでも客に見つめられている故に、固定された背景も小道具もない。あるのは役者のみ。ヘェーで馴染んだ八嶋智人さんは眼鏡を外していて、配役の選択肢からわかっていても、一瞬ダレ?とフイを突かれた。

占い師にあなたは間違った星を歩んでいると言われて、自分の人生に疑問を持った主人公エドモンド。白人で(アメリカが舞台)そこそこ収入も美人な妻(小泉今日子が目の前〜。近かった。かわいいよ・・・)もいて、何不自由なさそうなのに、突然妻と別れると言い出す。何年も妻には欲望を感じないとか。そのまま、あやしい町へ繰り出す。

貧富の差、白人・黒人そして、神。ちょっと違う道を解放されたように歩くはずだったエドモンド。でも風俗に行けば吹っかけられてお金がない、暴力を振るわれて仕返す。昂揚して殺人。刑務所で、おれの人生こんなはずじゃなかったと気づく頃には、人生遅い。

人生こんなはずじゃって気づくのは、とても勇気が必要で、一見それは正しい道だと私は思っていた。でも、エドモンドを観る限り、歯車が違えばすべてが狂う。どこで何を踏み出すのか、神のみぞ知るっていうのかね。

そもそも、長塚圭史の演出だっていうのが、目当てで観に行ったので、ホンはあんまり。実際のところ寝不足の私は後半真っ暗闇の中、神を語るようなシーンで眠気に襲われ、うやむやなまま劇は終わってしまったという、よくないケース。
それでも面白かったというのは、円形劇場故だろう。暗くなってシーンが変わる度にどこから出てくるのが(どこへ消えていくのか)、小道具たち、役者たち、階段際の椅子に座ってみていたが、後ろから遅れてきた客かと思ったら、俳優さんだったり、この身近さが意外で新鮮だった。デザインと劇中の曲もよかった。ディヴィット・マメットのホンは作者も舞台がアメリカなせいもあるけど、共感を呼ぶには小難しくて、イマイチだなぁと