PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

南極物語

 懐かしい映画。母に連れられて上野の映画館に観に行った覚えがある。ほんの年端もいかないぐらいで、よくこんな長い映画を見たなと今では思う。でも記憶はあやふやだがあるし、「タロ」と「ジロ」は一時期、私にとってヒーローだった。


 この映画ってどうやって撮影したんだろうと興味がある。「南極」とあるけど本当の撮影は「北極」だったとか、その後に知ったりもしたのだが、極寒の地で犬たちを撮るのはどうだったんだろうとか。それらしい画像に当てはめて犬にナレーションを付ければ、ストーリーにはなるけれども、それだってそうは上手く行くものではないし。


 高倉健氏は格好いい。こうなんというか、ブラウン管で見慣れたイマドキの若者とは違うよ。白い開襟シャツの胸元ボタンをあけて、ピタッとしたチノパン姿のスタイルのいいこと。こういう華奢でもなく丁度良い肉付きをしている体形の人は、今いないと思う。
 大阪弁(それとも京言葉?)をしゃべる渡瀬恒彦に、和装の夏目雅子。似合い。夏目雅子も今では見かけないタイプの美人だな。今観たってこないに魅力あふれるのだから、日本人の美的感覚が変わったというよりも、日本にはこういう雰囲気をかもし出せる人がいなくなったのだろう。


 古きよき時代の香りする、それでいて熱い映画。動物好きならば一も二もなく泣くし(犬好きなら尚更)、未知の冒険に血がたぎるような人もいるだろうし、シンセサイザーを習いたいと思うのも一興。HNKの動物番組みたいな感じもあるし、ちょっと冗長な間が多い気もするが、これは日本映画史に残る一本でいいんじゃないでしょうか?

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