PUSHMIPULLYU

-オシツオサレツ日々は過ぎる

レイ・ブラッドベリ「華氏451度」 "Fahrenheit 451" Ray Bradbury


ブラッドベリは「火星年代記」がとても好きで、同時に有名な「華氏451度」が慢性読みたいリストに入っていたのだが、ようやく常とは違う市の中央図書館へふらっと行ったところ、書棚に(中央ゆえに)当然だろ?と言わんばかりに置いてあった。

こう言ったらおかしいんだろうが、なにより題名が好き。(あはは)
詩的にスバラシイと思ってしまう。
華氏ってファーレンハイトなのかと、しみじみしたり。献辞にうむむと唸ったり。

消防士が火を消すのじゃなくて、本を焼く時代の物語。
本は読むのも書くのも禁止され(自宅に隠していたら密告され、焚書官に焼かれる)、テレビが唯一の友であり家族であり娯楽であり、メディアを疑問にも思わず楽しみ、考えることを忘れてしまった人々。

うわぁ、こんな時代になってしまったら、自分はいち早くメディア漬けになるか、抵抗しててもすぐに闇に消されるだろうなと思った。(「バトルロワイヤル」でどんな武器持っていてもすぐに死ぬだろうなと思ったのと同じ)
だが、この主人公はこれに抗い、ひとつの道を見つけていく姿が清々しくも、なんか物悲しい話だった。

本(書籍)は持ってないが、頭の中にそれぞれの一章が入っていて、あちこちに彼らはいるという、森にいるかつては教授だった人たちがいいな。本はついつい溜めてタワーを作ってしまいがちだけど、重要なのは紙という媒体じゃなくて、中身を覚えてさえいれば、それはもう立派な本であるということ。
Fahrenheit 451